現在、日本の医療現場で使用されている医療ガーゼのほぼ100%が中国で製造されており、その製造工程ではシャトルを高速で往復させて横糸を織り込んでいく「力織機」が使用されてきました。この度、オオサキメディカルは医療ガーゼの品質向上と人にやさしい労働環境づくりを目指し、シャトルを使わず空気の力で横糸を飛ばして製織していく「エア織機」による生産を採用いたしました。今後、“空気で織る医療ガーゼ”への移行を順次進めてまいります。
従来から使用されてきた「力織機(りきしょっき)」は、その構造より駆動部に機械油を塗布しなければならず、製織時に少量の機械油が飛散することによる油の付着や、空気中に舞い上がる風綿(ふうめん)※が塊になってガーゼに混入するという問題がありました。また、製織時の綿糸の張力がバラつくことによる織りムラも時には発生していました。シャトルを使用せず安定した張力が維持しやすい「エア織機」を導入することにより、油の付着や風綿(ふうめん)の混入、織りムラを軽減することが可能になりました。
※風綿(ふうめん):綿埃のこと
「力織機」はシャトルが高速で往復するため、非常に大きな音と振動が発生し、数百台の織機が同時に稼働する織布工場では騒音と振動が建物を揺らす程になります。織機工程を担当する作業者は、難聴や体調不良になりやすく、そのような過酷な労働環境から作業者の減少が進んでいます。
「エア織機」は空気を利用して製織することから音や振動が比較的少なく、労働環境の改善に繋げることができます。作業者の健康を守り、今後も医療ガーゼを安定的に製造し、お届けするためにも必要な移行だと考えました。